現代史・産業・ルポ
小さな家内工場から巨大メーカーを築きあげた松下幸之助を追ったルポ.ただし,著名人の伝記によく見られるようなサクセスストーリーではない.「経営の神
様」と言われた彼は晩年,コンピュータ産業からの撤退という誰もが首をひねる悪手を打つ.コンピュータ産業の将来性を見極められなかったトップ.それに従
わざるを得なかった企業.原因はおぼろげながら想像できるが,本書はその輪郭と内側を鮮明に見せてくれる.PHP文庫でお馴染みのPHP運動.そのコトの
起こりと運動の経過に触れた部分も興味深かった.PHPは,peace and happiness through
prosperity(繁栄を持って平和と幸福を)という意味とのこと.まさに経済最優先の高度成長時代を象徴する思想だと思う.